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日本のお財布とまちづくり事業

らしく株式会社の堀です。

本当に久々のblog更新ですが、今回は「日本のお財布とまちづくり事業」について個人的に妄想している事があるので書いてみたいと思います。


■概要

①現時点でのモヤモヤ

・今は全国各地にまちづくりの実践者がいて、それぞれ小さいながらも確実に良いコミュニティを構築し、彩りのある日常や事業を創ろうとしている過渡期


・入口部分の取り組み(マルシェ、小商い、商店街イベント、リノベーションなど)はカタチとなるものが存在するが、まだ事業として10年以上持続できるモデルになっているものは少なく、中には一過性のものも多いと感じる。


・入口部分の取り組みに参画できる事業者も、飲食店、不動産、デザイン、クリエイター、アーティスト、メディアなど限定された業種になりやすい傾向がある。


・まちづくりのプレーヤーである個人の所得設計や収益モデルにも課題は多く、それぞれの地域を盛り上げる取り組みも大きなエリアに影響を与えるほどにはなってないように感じる。


・小さなまとまりではなく、既存の大きな「何か」を動かす必要性を感じる


・「里山資本主義」のような脱資本主義の思考は、少しずつ一部の少数派には浸透しつつあるが、国レベルの単位で経済システムの仕組みが大きく変わるのはまだまだ先だと感じる。一部の人の価値観や思考は少し変化しても、国や自治体レベルのルールが大きく変わるのは10~20年はかかりそうな印象。


・「地域通貨」の意図していることは素晴らしいが、現状の資本主義からいきなり移行するのはかなり無理があると感じる(段階的な移行ではなく、数段くらい一気に飛び越えてしまって地域住民の感覚が追いつかない雰囲気)


②考え方の方向性

たぶん、重要なことはいきなりぶっ飛んだ未来を構想してゼロベースから進めるのではなく、いかに今の日常における地域経済の流れ、生態系の中で新しい思考を丁寧に紡いでいくか、だと思ってます。


■日本にまだある「数少ない大きな財布」

・今の経済にしっかり向き合いつつも、いかにまちづくりや地方創生の新しい価値観を融合していくかがポイント

・そのためには、日本という国に残っている「数少ない大きなお財布」をしっかり把握して、誠実なアクションをする必要がありそう

・「数少ない大きな財布」は、民間だと以下3つになると感じる


1 大企業の巨額の内部留保やCSR/CSV部署の予算

2 地主・資産家が保有する金融資産

3 地場の非上場オーナー系企業の内部留保


もしかしたら、1と2は気づいて少しアクションをしている人もいるように感じます。

1は、志を感じるCSR/CSV事業を実施する大企業も少しずつ出始めていて、事例も少しはあるように感じます。


2は、地域に対して志のある地主や資産家の方を想定しています。
ただし、日本の場合、どうしても財産を巨額に保有していると、相続税対策を無視する事はできません。また、私利私欲しか考えないような不動産業者からのアパート・マンション運用の薄い提案にのってしまったことにより、銀行借入が大規模修繕のたびに雪だるま式に膨らみ、巨額納税と借金返済、入居者トラブルなどの悪循環に嵌ってしまっている地主さんも意外に多いです。


こういった「呪縛」と縁のない地主さんで、地域に愛があり、多少の先見性がある方が保有する金融資産は間違いなく「まちづくりの未来に繋がるお金」になり得ると感じます。また、30~40代で早期に相続などで先代から好条件で不動産を承継した若い地主さんも、同様に地域の宝になり得ると思います。


ただ、今回、詳しく書きたいのは3つ目の「非上場オーナー系企業の内部留保」です。

おそらく、1と2は何となく気づいても、3の部分は詳しく把握している方は少ないのではないでしょうか?


■「非上場オーナー系企業」とは?

詳しくは次のような特徴がある会社のことです。


・会社の規模感としては、年商10億円以上、50億円未満くらい

・業歴は少なくとも30年以上、親族などで代々、事業承継されているファミリー企業

・大都市ではなく、ローカルなエリアで地場企業として地域に根を張り、信頼を得て業績を伸ばしてきた企業

・地域住民にはあまり認知されていないが、銀行や商工会、同業者組合などでは非常に知られた地元の名士

・派手さには欠けるが、ニッチな分野では確実にニーズを掴める特殊な技術や技能を有していることが多い

・代表者自身が100%株主になっているケースが多く、いわゆる「所有と経営が一致」している状態

・その企業の決算内容、事業実態は基本的に外部へ公表されず、その情報は経営者のほか、顧問の税理士・会計士、経理担当者(番頭さん)、取引銀行くらいしか把握できず、非常に閉鎖的な状況


■なんで、非上場オーナー系企業の内部留保が「大きな財布」になり得るのか?

・非上場企業のため、株主配当するケースが極端に少なく、利益が納税以外で社外流出するケースがないため留保しやすい


・経営者自身が、その地域に対して思い入れがあることが多く、かつ100%株主でもあるため完全にトップダウンで予算化できる。大企業のCSR/CSV部署の予算と比較して、スピード感と地域への愛が深い部分が異なる。


・年商10億円以上の非上場オーナー系企業の中には、年間利益が数千万円ベースで毎年度計上される企業も多く、一方で納税は利益に対しておおよそ40%ほど課されるため、代表者は総じて「節税」への意識が非常に高い。


・現在、日本で行われている節税の手法は主に社内への支出(人件費、物品購入、生命保険、グループ会社への経費支出など)であることが多く、社外、特に地域へ資金を支出して節税になる手法はまだ全くと言っていいほど開拓されていない。


・非上場オーナー系企業は、戦後(2019年8月で戦後74年)に創業された法人が多く、代表者の高齢化に伴い、後継者への引継ぎや外部へのM&Aなど、いわゆる「非上場オーナー系企業の事業承継」は既に深刻な社会問題になっている


(参考:事業承継ガイドライン 2016年12年、中小企業庁より)

ここ5~10年で事業承継を迎える 非上場オーナー系企業 はピークとなる

https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2016/161205shoukei1.pdf


・国としても、この10年ほどの期間で日本全国の 非上場オーナー系企業の事業承継問題の大部分を解決したい意向であり、その支援策として豊富な優遇制度(税制、優遇融資、民法特例など)が揃っている状況


■「非上場オーナー系企業」に何をしてもらうか?

地域のまちづくりを事業化するチャレンジに対し、資金を提供して頂きます。

ただ、この資金提供は 非上場オーナー系企業側では出来る限り「事業経費」になるよう設計します。

そして、資金提供だけではなく、まちづくりのプロジェクト自体も協業していけたら理想的だと思います。


■「非上場オーナー系企業」にとってのメリットは?

・まちづくり会社等への支出が事業経費になる場合、節税や、事業承継時であれば自社の株価を引き下げる効果がある

・協業を通じて、中小企業にとってハードルが高いCSR/CSV事業の実践を、予算消化ではなく営利的な位置づけで地元地域で実践できる

・まちづくりに地域の非上場オーナー系企業が参画することで、地域経済の循環、まちのお金の流れを変革する第一歩になる


■まちづくりプレーヤーと非上場オーナー系企業はどうリンクさせるのか?

これはお互いの業種によって協業の仕方も根本的に変わってくるので一概には言えません。

一例として、非上場オーナー系企業からの資金提供を「広告宣伝費」として処理できるようにしてスポンサー企業になりつつ、その会社の商品や技術を現場で有効利用し、まちづくりのプロジェクトと相乗効果があがる仕組みを想定。


まちづくりのプロジェクトも、そのエリアでの遊休不動産活用から、創業支援、移住定住支援、外国人との共生、インバウンド系、地元商店街との提携など多岐にわたるケースで検討できるかと思います。


■地域に思いのある非上場オーナー系企業にはどうやってアプローチするか?

まずは、信用金庫など地域金融機関へのアプローチが良いと思います。

具体的には、信用金庫のお客さんでもある、地場の非上場オーナー系企業を紹介していただく事を依頼します。

地方創生の推進・支援の部署があると望ましいかと思います。


なぜ、地域金融機関なのか?

それは、金融庁が地域金融機関を監督する際、主に「地域経済の成長発展をしっかり支援しているか?」を見るからです。

おのずと、地域金融機関の経営ビジョンは「地場の非上場オーナー系企業の経営を支援し、地域経済を盛り上げるパートナーになる」という方向になります。

つまるところ、地域金融機関には地域経済を活性化させたり、まちのお金の循環を正常化させることが求められていると思います。


ただし、一方で地域金融機関は資金提供や人材紹介が支援のメインであり、その企業の経営に直接入り込んだり、地域に巡っているお金の流れを少しでも正常になるよう是正するアクションを取ることは専門分野でないため難しいと思います。


そこで、地域金融機関が苦手とする部分(又は対象外と捉えている部分)を地域のまちづくりのプレーヤーが担うことにより、地域金融機関の経営理念をパートナーの立場から実践・実現する手助けをしていく事ができるかと考えています。


このほか、事業承継を得意にしている若手士業や、事業承継支援をしている団体との提携も面白いかもしれません。


■つまるところ、何がしたいのか?

長々と書いてきましたが、もしこの構想(妄想?)に賛同頂ける方がいれば、ぜひその地域で進めたい(又は既に進めている)まちづくりのプロジェクトを基に、地元の信用金庫などに提案してみて頂きたいのです。

その際には、どんな業種、規模感の非上場オーナー系企業と知り合いたいのか、具体的なイメージが分かるよう論点整理を事前にすべきかと思います。


らしく社でも今後、埼玉や長野でこの構想は準備して進めたいと思います。


決して簡単な話ではないですし、超えるべきハードルもありますが、この壁を越えた先には1つスケールアップしたまちづくり事業への道が拓けると考えています。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました(^^)

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