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投資回収計画書をどうやって見るか?

こんばんは、らしく㈱の堀です。

新拠点へのオフィス移転(原山いおり庵)と夏季休暇があり更新がやや空いてしまいました。

さて、今日はさいたま市公民連携シリーズの最後ですが、「投資回収計画をどうやって見るか?」について書きます。

 

そもそも、投資回収計画ってなに?

これは言葉のとおりで、「投資した金額をどのように回収するかが示された書類」という事になります。

なので、以下の内容をトコトン「数値メインで表現」します。

 

・まず、一番大事なのがは「会社のおカネの状況」です。

いまどの位のおカネがあって、新規事業のためにいくら投資が必要で、どの程度の期間で回収できるか?という点が最重要ポイントになるワケです。

 

・次に、おカネの残高が変動する要因として、「その会社の業績や税金」があります。

業績というのは「売上(収入) - 経費(コスト) - 税金」で計算します。

なので、それぞれについて数値を丁寧に組み立てていく必要があります。

 

売上、経費、税金ってどういうこと?

①売上(収入)

年間の売上はよく「年商」とも言われる部分です。

どんなビジネスモデルで、何をする事によってどの程度の売上が生じるか、かなり緻密に計算します。

ポイントは、「確実でない部分は低めに試算する」という点です。

例えばイベント収入などは変動制が高く、時期や天候なども左右されるため高い売上を見積もると後々計画と実態が大きく乖離し、イタい目に遭います(笑)

なので、契約に基づくような固定収入は固く見積もり、変動的な収入はやや低くします。

 

②経費(コスト)

次はコストです。これは一般の方でもイメージし易いと思います。人件費、家賃、交通費、通信費、会議費とかですね。

でもコストにも落とし穴は多々あり、次のようなコストも見落としがないよう適正額をちゃんと入れます。

 

・減価償却

大きな資産を購入した場合、購入額が一括では経費にならず法律上で決まった資産ごとの年数で長期間にわたって経費化されます。

これを「減価償却」といい、初期投資額が大きいプロジェクトは減価償却を正確に把握できている事は非常に大事です。

 

・銀行融資の金利

これもよく勘違いされている方が多いですが、元金の返済は経費にならず金利支払部分のみが経費になります。

逆に言えば、「元金返済は経費にならないけどおカネは減少する」という点も超重要ポイントです。

 

・社会保険料の会社負担分

現時点の料率だと、社会保険が対象になる役員・社員の給与額面の「おおよそ14%弱」が会社が負担する社会保険料であり、これが経費になります。

少しイメージするとわかりますが、例えば年間の人件費が2,000万円(社会保険対象者のみ)だと、会社が負担する年間の社会保険料は約280万円になり、かなりの高負担だという事が把握できます。

 

③税金

・法人税等

これは法人税(国税)と法人地方税(地方税)を合算して「法人税等」と総称しているんですが、仕組みはメチャクチャ細かいです。

正直、法人税の仕組みだけで数冊本が書けるくらいのボリュームです(笑)

なので、ここでは凄くシンプルに法人税・地方税は合算して「税引前利益の約30%くらいかかる」と認識してもらえればそれでOKです。

税理士でもなければ、税金なんて「大体これくらいかかる」って分かれば十分すぎますので。

 

・消費税

これも分かりにくいのですが、消費税は税金であるとともに、経費化もできます。(税込処理しているケース)

たまに、経営者の方で「消費税は単なる預り税だから、自社負担はなく大して考慮する必要ないのでは?」と聞くケースもありますが、これは大きな勘違いです。

細かい説明は割愛しますが、例えば年商1,100万円のサービス業の小規模な会社でもおおよそ年間で40~60万円程度の消費税納税は生じます。

これが基本的に3年度目から急に発生するので、まあそれはそれは厄介なワケです。

こういった部分もモレがないよう、投資回収計画に加味します。

 

投資回収計画ってどうやって見るの?

さて、このブログの本題ですね。

まず、先日のブログ(さいたま市公民連携事業の提案資料を公開します!!)で公開しました「投資回収計画書」を併せて見てもらえたらと思います。

まあ、この書類はトコトン数値の羅列ですね(笑)

ただ、以下のポイントを押さえれば見方がわかります。

 

①横軸は時系列

6月からスタートしていますが、初年度は毎月の数値、2年度目からは年間の数値が横軸で時系列に展開しています。

 

②期首資金残高

毎月1日(2年度目以降は年度の初め)におけるおカネの残高です。

スタートラインで現金がいくらあるかがわかります。

 

③期末資金残高

②とは逆に、毎月末(2年度目以降は期末)におけるおカネの残高です。

毎月(2年度目以降は毎決算期)ごとに、決算が完了しておカネの残高がどうなっているかがわかります。

 

④キャッシュフロー収支

②と③の差額です。

つまり、毎月1日(2年度以降は年度の初め)からその月末(2年度以降は期末)までに「いくらおカネが増減したのか?」が示されます。

この数値がずっと大きくプラスなら安全な計画となり、逆にずっとマイナス続きだと危険で改善や撤退が必要だと判断します。

 

⑤税引前利益

その名前のとおりで、「税金を差し引きする前の最終利益」です。

税引前利益は、年間の売上から経費を差し引いて計算されます。

 

⑥法人税等

上記を参照。基本的に⑤がプラスなら30%程度の法人税等が発生し、マイナスならほぼ無税になります。

なお、マイナス(赤字)は翌年度以降の利益と相殺できる制度もあったりします。

 

⑦キャッシュフロー調整(プラスとマイナス)

この部分は、業績(売上 - 経費 - 税金)を計算するうえで考慮されないおカネの動きを調整する部分です。

例えば、銀行から借金をしたケースです。

銀行から借金をするとおカネが会社の口座に入金しますが、これは「将来返すもの」なので売上になりません。ただしおカネは増えますよね?

逆に、銀行に少しずつ借金を返済する時は、元金部分は経費になりませんがおカネは減りますよね?

こういった、売上と経費に関係はしないけどおカネは増減する部分をこの項目ですべて調整します。

 

ゼロベースで投資回収計画が作れると何がメリットなの?

いろいろと書いてきましたが、投資回収計画を作成するメリットを最後に。

 

特にまちづくりの分野で色んな現場を見ていて感じるのが、「アイデアやコンセプトまでは上手くいくんだけどその後がなかなか上手くいかない」って事です。

「その後」は何かっていうと、間違いなく以下の三点セットなんです。

 

・その事業はちゃんと儲かるの?

・その事業って初期にどのくらいの投資額(コスト)がかかるの?

・その投資額ってどの程度の期間で全額回収できるの?

 

この3点にしっかりと対応し説得できるのが、現実に即した適切な投資回収計画です。

経営は財務面以外にも、マーケティングや人事、リスク対応など重要な部分はありますが、入り口部分でスポンサーや支援者に納得してもらうために最も重要なのが「おカネの部分」なんだと思います。

 

残念な事ですが、現在の日本のソーシャルビジネスやまちづくりビジネスの分野で最も弱い部分がこの点だと感じてます。

らしく㈱はまちづくりビジネスの現場でゼロベースからビジネスを創造するとともに、そのビジョンに即した投資回収計画を構築してビジネスを本格化させる役割を果たしたいと思っています。

 

そして、この部分に関して世の中で最も得意にしているのが税理士や会計士などの数値に関する専門家です。

個人的に、らしく㈱を創業したのは自身の税理士としての強みを「単純な税理士業務以外の部分」で社会課題を改善するために生かせないか?という強い問いから生じた想いです。

 

現在は公民連携事業という機会でゼロベースからまちづくりの事業を構築し、その中で投資回収計画も策定していますが、これを大企業のCSR/CSV事業や若手地主の方向けにも提案し、実現していきたいと思っています。

 

最後まで読んでくれて、ありがとうございます(^^)

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